良質な糸をつくり、その糸が生きるものづくりを目指すANSPINNEN(スピネン)は、価値ある技術の継承を、工場とともに行っていく日本発のファクトリーブランドです。
ドイツ語の紡ぐ・つなぐという意味のSPINNENに、前置詞ANをつなげた名前は、紡績会社を基盤とし、ドイツ由来の機械を一部使っていることから名づけられました。
紡績とは糸づくり。着心地が良く長く愛用できるニットは、最良の糸から生まれます。スピネンでは、カシミヤやヤク、ラムズウール等を、最高の技術で丁寧に紡ぎ、原毛から糸にするまでを終始一箇所で行うことで、絶えず糸の声に耳を傾け、その性質を理解し、息を吹き込んでいきます。
編んでいく工程は糸を熟知した協力工場と連携し、職人の手で糸の個性を引き出しながら製品化。
生産の現場で工場や職人の減少によって揺らぐ技術の遺産を、途切れなく次世代へとつなぎ、ものづくりに対する誠実な想いをも編み進めていきます。
スピネンを立ち上げた小金毛織は、日本で数少ない紡毛(手紡ぎに近い膨らみのある糸)紡績メーカー。特に、カシミヤ糸を紡績できる国内のたった3社のうちの1社であり、長く受け継いできた確かな紡績技術で知られています。
紡績は、動物から刈り取った綿状の原毛を、混ぜ合わせ、繊維を整え、引き延ばしと、いくつもの段階を経て一本の糸にすること。その数本の糸を撚ってあらゆる太さの糸にするのが撚糸です。
本来この二つは分業するのが通例でしたが、小金毛織ではこの紡績から撚糸までの工程を、一貫して秋田県湯沢市の自社工場で行っています。これによりクオリティを高く保ち、安定して良い糸をつくることができるのです。
小金毛織は、日本の羊毛を扱う技術者のパイオニア、石井立郎が1952年に創業しました。現在は創業の地である千葉を本拠とし、すべて秋田の工場で製作。つくり手と使い手、そしてメイド・イン・ジャパンの技術を未来へとつなぎます。